🎬 作品情報
- 原題:Hell or High Water
- 公開年:2016年
- 監督:デヴィッド・マッケンジー
- 主演:クリス・パイン、ベン・フォスター、ジェフ・ブリッジス
- ジャンル:クライム / サスペンス / ドラマ
- 受賞歴:アカデミー賞4部門ノミネート(作品賞・脚本賞など)、ゴールデングローブ賞ノミネート

あらすじ
アメリカ・テキサス州の荒野で、貧困に苦しむ兄弟が次々と銀行強盗を成功させていきます。
しかし、その背後には単なる犯罪ではない理由が隠されていました。
テイラー(クリス・パイン)とタナー(ベン・フォスター)の兄弟は、亡き母が残した家を守るため、地元の銀行を襲撃する計画を立てます。兄のタナーは無鉄砲な性格で、すぐに暴力を振るう危険人物。一方、弟のテイラーは冷静沈着で、犯罪に手を染めることに葛藤を抱いていました。
そんな二人を追うのは、退職間近の老保安官ハミルトン(ジェフ・ブリッジス)。
彼は、兄弟の犯行パターンを読み解きながら、静かに彼らを追い詰めていきます。
この映画は、単なる犯罪映画ではなく、「正義とは何か?」「貧困は罪なのか?」といったテーマを深く掘り下げています。
『最後の追跡』の魅力
犯罪に隠された社会的メッセージ
本作は、「銀行強盗 vs 警察」という単純な対立構造ではなく、現代アメリカの経済格差や社会問題を背景に描かれています。
兄弟がターゲットにするのは、かつて彼らの家族を搾取した銀行。
つまり、彼らの犯罪は単なる金銭目的ではなく、システムへの抵抗とも言えるのです。
✅「貧困の連鎖から抜け出すには、犯罪しか手段がないのか?」
✅「強盗は悪かもしれないが、銀行がしていることは正義なのか?」
この映画は、そんな問いを観客に投げかけます。
兄弟の対照的なキャラクター
兄のタナーは、衝動的で暴力的な性格。一方のテイラーは冷静で、できるだけ穏便に済ませようとします。
この二人の対比が、映画の緊張感を高めています。
タナーは過去に刑務所に入っていた前科者で、どこか投げやりな態度を見せますが、それでも弟のことを大切に思っています。
一方、テイラーはこの計画が成功すれば、家族の未来が守れると信じています。
二人の関係は、単なる犯罪コンビではなく、「家族愛」と「宿命」によって強く結ばれています。
老保安官との緊迫した駆け引き
この映画のもう一つの大きな魅力は、彼らを追う老保安官ハミルトンの存在です。
ジェフ・ブリッジス演じるハミルトンは、退職を間近に控えながらも、最後の仕事としてこの銀行強盗事件を追いかけます。
彼の捜査は、派手なアクションではなく、静かに相手の心理を読み解くもの。
「熟練の保安官 vs 若き強盗兄弟」の緊迫感ある駆け引きが、映画のスリルを高めています。
ハミルトンは決して完璧なヒーローではなく、むしろ時代遅れの頑固者のように見える場面もあります。
しかし、彼の執念と洞察力には、どこか人間味が感じられ、観客はいつの間にか彼の視点からも物語を追うことになります。
映像美と音楽が生み出す独特の世界観
『最後の追跡』は、広大なテキサスの風景を活かした映像美も魅力の一つです。
☑ 荒涼とした砂漠と、夕暮れに染まる広大な大地
☑ 一見のどかだが、どこか寂しげな田舎町
☑ ガソリンスタンドやダイナーなど、アメリカン・ロードムービーのような景観
また、音楽も素晴らしく、カントリー調のスコアが作品の雰囲気を一層引き立てています。
こんな人におすすめ
✅ 犯罪映画やクライムサスペンスが好きな人
✅ 社会派映画が好きな人
✅ 静かで深みのあるストーリーを求めている人
✅ 兄弟の絆や家族のテーマに感動する人
まとめ
『最後の追跡』は、ただの犯罪映画ではなく、社会問題や人間ドラマを深く掘り下げた作品です。
強盗をする兄弟と、それを追う保安官。どちらにも共感できる部分があり、観る者の価値観を揺さぶります。
正義とは何か。
罪を犯す者は必ずしも悪なのか。
映画を観終えた後、あなたはどちらの立場に心を寄せるでしょうか?
コメント