『すずめの戸締まり』レビュー|新海誠が描く、過去と未来をつなぐ感動の旅

アニメ映画

🎬 作品情報

  • タイトル:すずめの戸締まり
  • 公開年:2022年
  • 監督・脚本:新海誠
  • 声の出演:原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉 ほか
  • ジャンル:ファンタジー / アドベンチャー / 感動
  • 受賞歴
    • 第46回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞
    • アニー賞ノミネート(長編インディペンデントアニメ部門)
    • 第73回ベルリン国際映画祭正式出品
A cinematic and emotional scene inspired by 'Suzume no Tojimari'. A young girl stands before a mystical glowing door in an abandoned, overgrown Japanese town. The atmosphere is both magical and nostalgic, with the wind blowing her hair gently as she reaches out to close the door. The sky is a mix of twilight hues, symbolizing a journey between past and future. The setting evokes adventure, mystery, and self-discovery.

あらすじ

少女と謎の青年の出会い

宮崎県の静かな町で暮らす17歳の少女・岩戸鈴芽(すずめ)は、ある日「扉を探している」という謎の青年・宗像草太に出会います。

彼が探しているのは、「後ろ戸」と呼ばれる異世界へとつながる扉
それは日本各地に点在し、開いてしまうとこの世界に災厄をもたらすといわれています。

すずめは、好奇心から草太を追いかけ、ある古い建物の中に「後ろ戸」を見つけてしまうのです。

封印されるべき扉が開かれる

不思議な光に包まれる扉の向こうには、異世界のような美しい風景が広がっています。
しかし、その扉が開いたことで、日本各地の後ろ戸が次々と開いてしまうのです。

災厄を防ぐため、草太は扉を封印しようとしますが、不思議な力によって椅子の姿に変えられてしまうという事態に。
こうして、すずめと椅子になった草太は、日本各地の後ろ戸を閉じる旅へと出発します。

その旅の先で、すずめは過去の自分と向き合い、「本当に大切なもの」に気づいていくのです。
最後に彼女がたどり着く扉の向こうには、一体何が待っているのでしょうか——?


『すずめの戸締まり』の魅力

圧倒的な映像美と没入感

新海誠監督といえば、その美しい映像表現が魅力ですが、本作でもそのクオリティは健在です。

🌿 風に揺れる草木のリアルな表現
🏙 時間の移ろいとともに変化する空の色合い
🌊 水のきらめきや光の反射の繊細な描写

どのシーンを切り取っても、まるで一枚の絵画のような美しさがあります。
また、日本各地を巡るロードムービー的な要素も魅力のひとつで、
九州、四国、関西、東北と、さまざまな場所を旅する中で、地域ごとの風景が丁寧に描かれています。

「観るだけで旅をしている気分になる」、そんな作品になっています。


すずめの成長と感情の変化

物語が進むにつれ、すずめは戸締まりの旅を通して大きく成長していきます。

🛤 最初はただの高校生だった彼女が、責任を背負う覚悟を持つようになる
🛤 人との出会いと別れを繰り返しながら、過去と向き合っていく
🛤 最終的には、「未来へ進む勇気」を手に入れる

「戸締まり」は物理的な行為でありながら、すずめにとっては
「過去を閉じ、未来へ進むための儀式」のような意味を持っています。

彼女の旅を見守ることで、観る者も「自分にとって大切なものは何か?」を考えさせられるでしょう。


東日本大震災を想起させるテーマ

『すずめの戸締まり』は、新海誠監督が「東日本大震災を描くべきではないか?」という想いから生まれた作品です。

🔹 作中には、震災を想起させるシーンが多く登場する
🔹 すずめの「喪失」と「再生」の物語は、被災者の心情と重なる部分がある
🔹 人々の絆や、災害の記憶を風化させないことの重要性が伝わってくる

ただし、物語はあくまで「前を向く」ことをテーマにしているため、悲観的になりすぎず、
「今を生きることの大切さ」をポジティブに伝えている点も本作の魅力です。


印象に残るセリフとその意味

「行ってきます、わたしの旅が始まる。」

すずめが旅立つ際に発する言葉です。
このセリフには、「新しい一歩を踏み出す決意」が込められています。


「ここは、わたしの場所だ。」

物語のクライマックスで、すずめが自身の「居場所」を見つける瞬間の言葉です。
このセリフは、単なる「物理的な場所」ではなく、
「心のよりどころ」を見つけることの大切さを示しています。


まとめ

『すずめの戸締まり』は、
「過去を乗り越え、未来へ進むこと」を描いた壮大な冒険物語です。

📌 美しい映像と音楽が圧倒的な没入感を生む
📌 少女の成長と冒険を通して描かれる感動のストーリー
📌 災害と向き合う日本人の心を繊細に描写

観終わった後、「自分の大切なもの」を改めて考えさせられる映画です。

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